未来のホテリエを応援! 武内 悟 先生のおススメ本
700人のムラがひとつのホテルに
嶋田 俊平(著) 文藝春秋
皆さん、こんにちは。
季節は早いもので秋を迎える時期となりました。
さて、秋の夜長におススメする書籍は、“こういうホテルの在り方があるのだ!”という新たな宿泊業態と呼べるようなホテルの出来るまでの過程をドキュメンタリー調で綴られた1冊です。
「700人のムラがひとつのホテルに」
最近では全国で古民家を改装した宿泊施設が登場していますが、地場の農産物や食材とそこで暮らす村民の皆さんも全面協力する、人口700人余りの山村そのものをホテルに見立てた山梨県にある「NIPPONIA 小菅 源流の村」が本書の舞台です。
皆さんは「アルベルゴ・ディフューゾ」という言葉をご存知でしょうか?
イタリア語なのですが、地域に散らばっている空き家を活用し、建物単体ではなく
地域一帯を「点在型ホテル」とするイタリア発祥の取り組みのことです。
まち(ムラ)全体をホテルと見立て、レセプション、宿舎、レストラン等の機能・要素がまち(ムラ)中に広がっています。
つまり「NIPPONIA 小菅 源流の村」は、日本版アルベルゴ・ディフューゾとも言えるユニークな宿泊経営形態のホテルなのです。
その経営に奔走した著者は、もともと地方創生を請け負うコンサルタントでしたが、自分自身が取り組んだ改革案の末路を見届けることもない仕事のやり方にいつしか不満と疑問を持ちます。
そして数々の案件を通じて、熱意を持ってまちやムラの再興を望む自治体からの相談に対して一緒に「伴走」して結果を見届けるビジネス手法を用いて実績を積み上げます。
私は、著者のようにホテル経営者やホテリエではない第三者的立場での宿泊施設の在り方やサービスを検討する姿勢は、今後の宿泊施設には不可欠な要素だと常々感じています。
ホテリエとしてホテル企業で働くことだけをイメージしている人には、ちょっと想像が出来にくいかもしれませんが、この書籍を読むと「ホテルを一から創る」という醍醐味が疑似体験できるような内容に魅かれることでしょう。
因みに著者は、この小菅村のプロジェクトの次に、JR東日本とのコラボレーションで、JR青梅線の無人駅をホテルのフロントに見立てて、沿線観光を盛り立てる実証実験として「沿線まるごとホテル」プロジェクトを2021年に実施。
また、新しいホテルの在り方を提案しようとしています。
詳しくはこちらをご覧下さい。
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