高級レストランや結婚式の披露宴で食事をしたことはありますか?
正装したり、おしゃれをして、特別な時間を過ごすために、ワクワクしながらお店に入りますよね。
レストランスタッフたちは、そんな特別な時間をどうやって提供してあげるのでしょう?
レストランサービスの授業をしている先生に聞きました。
「あなたのサービスじゃなきゃ美味しくない」と言われるサービスマンになりたい
レストランサービスとは?
以下のエピソードは、「レストランサービスの日常」を先生から聞き取り、少しアレンジを加えたものです。
サービスマンの受け持ちテーブルは三卓。
若いカップル、ご年配のご夫婦、ファミリー。
若いカップルのテーブルは、会話に夢中の男性と、ニコニコ頷きながら聞く女性がいます。
男性は、ペロリとお皿を空にして、また楽しそうに話し続けます。
サービスマンは、簡単な料理説明のみ行い、空いたグラスにワインを注ぎつつ、女性の食べ終わる時間を計算します。
実は、コース料理は同じテーブルで食べ終わりをほどよく合わせるのがマナーです。食べ終わりが違っても、コースの次の一品は同時に出します。
(もちろん親しい間柄ならば、楽しくおいしく食べるのが一番良いことです。)
ご年配のご夫婦には、くどいほどに料理やワインの説明をして大盛り上がり。なぜならこのお二人は、サービスマンに何度か質問をしつつ、慎重にオーダーしたからです。
このご夫婦にとって、素材や調理法などの説明も、お食事を美味しくする要因の一つなのです。
去り際にご婦人の「少しお腹いっぱいね・・・」の言葉を聞き逃さず、「次の肉料理は、一皿だけ少な目に」とキッチンへそっとオーダーします。
ファミリーのテーブルでは、カトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーンなどの総称)が落ちた音を確認し、替えのフォークを携えてテーブルへ向かいます。
笑顔でお子様のテーブルへ向かい、フォークをそっと置きつつ、空いたグラスを確認し、次のドリンクのオーダーを受けます。落としたフォークは去り際にサッと回収。
お客様の特別な時間を大切にしつつ、無駄のない、流れるようなサービスです。
どうしたら良いサービス技術が身に付くのでしょうか?
どうしたらこのような動きができるようになるのでしょうか?
レストランサービスのプロフェッショナルの上野真志先生に聞きました。
「実は、聞かなくても、言われなくても予想できることは沢山あるんです」
例えば、グラスの中身を直接見なくても、飲むときのグラスの角度を見れば残りの量はわかりますよね。
大切なことは、基礎をしっかり身につけることです。
野球ならば素振り、サッカーならリフティング、音楽なら音を出すところからはじめます。
サービスも同じです。
お皿の持ち方、トレーサービスの仕方、体の開き方、お客様との距離感、フルーツカービング。
しかし、ただ繰り返せば上手くなるものではありません。
考えながら動き、振り返り、そして繰り返す。
そのうちに考えなくても出来るようになります。そうしたら思考に余裕ができて、お客様の事をもっと考えられるようになりますし、更に難しい技術を習得できるようにもなります。
食材、調理方法、お酒の種類や食事との相性なども、ただ普通に業務をしているだけでは覚えられません。考えながら知識として覚えていくのです。
一流のレストランサービス技術とは?
沢山クレームも受けたし、色々な失敗をしてきました。
お客様や上司に、「お前じゃダメだ」と言われ、悔しくて、一晩中練習した事だってあります。食材やお酒の知識は、寝る間を惜しんで勉強しました。
そのうちに、ポツリポツリと感謝の言葉を聞くことが増えました。
亡き夫との思い出を壊したくなくて、なかなか店に来られなかったという上品なご婦人に、手を握られて感謝された時は自分も熱いものがこみ上げてきました。
「一生懸命練習して良かった。ご期待に応えられたんだ。」
そのご婦人はご家族やご友人と自分を指名して来店してくださるようになりました。
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ただ知識があって、技術が高ければ良いサービスが出来るわけじゃない。
シェフがどんなに素晴らしい料理を作ったって、“あなたのサービスじゃなきゃ美味しくない”。
そう言われる。これがプロフェッショナル。
一流のレストランサービス技術
習得するためには腕も心も磨く必要があるようです。
いかがでしたでしょうか。
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