日本の観光産業はこれまでに観光立国の実現に向けて日本の基幹産業になるべく成長してきました。
新型コロナウイルス感染症は、ホテルを含めた観光産業に大きな影響を与えたことは事実として受け止める必要があります。
平和産業と言われる観光産業はこれまでにも困難を克服したあと、常に復興してきました。 ホテルをはじめとした観光に関わる事業者は、「今、何ができるか」「新しい時代を迎えるために何をすべきか」といった視点で物事を考え、新しい価値の創造、感染症との共存を考えながら成長を見出し、先を見据えて行動しています。
世界1位を獲得!?「観光魅力度ランキング」で日本初
「観光魅力度ランキング」をご存じですか?
スイスの民間研究機関の世界経済フォーラムが2年に1度、発表しているランキングで、旅行や観光に関する112項目を総合的に評価したものです。2021年の旅行・観光の魅力度ランキングを発表し、対象117か国・地域の中で見事1位になりました。2007年の調査以来、1位となるのは初めてで、改めて観光地としての日本の魅力の高さが証明されました。
112もの審査項目のうち、鉄道サービスの利便性や公共交通機関の利便性などの「交通インフラ」や世界文化遺産や無形文化などの「文化資源」、「自然などの観光資源」で高い評価を得たことで1位を獲得したと言えます。
コロナ禍前の2019年の訪日外国人数は過去最高の3188万人に達しました。世界では12位(アジアでは3位)に留まっていますが、今回の観光魅力度ランキング1位を獲得したことで、世界からの注目度は高まり、さらに拡大する可能性を秘めています。
新型コロナウイルスの5類感染症への移行後、旅行の制度面における制約がなくなり、インバウンドの回復など日本全国に賑わいが戻ってきています。日本政府観光局(JNTO)によると、2023年10月の訪日外国人旅行者数(推計値)は251万6500人で、コロナ禍前の2019年の同月をコロナ後で初めて上回りました。訪日外国人旅行者数は、堅調に推移し回復基調が続いています。
一方で、コロナ以前のような人数を追い求める姿に戻るべきではないという指摘もあります。安定的、かつ持続的に成長するため、地域や産業の持続可能性を重視する旅行に関心が高い欧米のように観光を地域やコミュニティーの持続可能性に結びつける意識を高め、旅行者に満足度の高い体験を提供することで成長をめざすことも求められています。
未来の観光業界を担う皆さんへ、お伝えしたい「強いぞ!日本の観光業界」
コロナ禍で行動が制限されたからこそ、「旅行することの楽しさ」「友人や家族と過ごすことの楽しさ」が再認識され、私たちは「人と触れ合いたい」「気の合う仲間と時間を過ごしたい」という人が根源から持つ大事な気持ちに気づかされました。この気持ちに応える業界こそが、観光業界です。
感染症の影響により、私たちの価値観は大きく変化しました。それは旅行・観光に対する価値観にも同じことが言えます。安心・安全な環境は必要不可欠。その上で、人々は自分自身の価値観と合う経験を求めています。
多くの人々が初めて向き合う感染症。
ホテルをはじめとした観光業界が、感染症や価値観の変化に対してどのように対応したのか、今一度振り返ってみましょう。
未来の観光業界を担う皆さんへ、お伝えしたい「強いぞ!日本の観光業界」シリーズ全6話。
「訪日外国人観光客数99.9%減」衝撃のニュースを目の当たりに
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、世界的に出入国の制限や外出禁止などの措置がとられ、日本を訪れる外国人観光客は実質「ほぼゼロ」となりました。
2019年に日本を訪れた外国人観光客は過去最高の3188万人。
東京でも浅草・浅草寺をはじめ、観光名所で多くの外国人観光客の姿を見かけることが当たり前のようになりました。それが一変、新型コロナウイルスの感染拡大により、外国人観光客がいなくなってしまったのです。
私たちの生活と切り離せない「旅行」や「観光」の需要
日本全国において緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的に外出自粛や移動制限などが要請され、私たちの生活は一変しました。
当時、「外出自粛が解除されたらどんなことをしたい?」といったアンケートの回答には、「外食」や「国内旅行」といった回答が多くみられました。
感染症との共存による新しい基準と価値観の変化によるホテルの柔軟な対応
新型コロナウイルス感染症が広がる中、感染症との共存を考えながら成長を見出す必要があるホテル企業は、お客様と従業員の健康と安全を第一に考え、感染防止対策を徹底し、お客様が快適に時間を過ごすことができる空間の提供に取り組んでいます。
そして私たちの日常を変える契機となった感染症の拡大により、旅行や観光に依存しないホテルの新しい形を模索しているホテル企業も登場しています。
ホテルが提供するホテルスタッフによる「サービス」の変化
“ホテルスタッフとしてお客様に寄り添う”
そのためにできるかぎりお客様の近くに寄り添ってサービスを提供する光景が当たり前でした。
しかしホテルで働く人々は価値観の変化により、今一度「お客様に寄り添うこと」について考えることが求められています。
一方では技術革新が進み、私たちはコロナ禍における時代の変革の中で生まれる新しいニーズに応えるために既存の枠にとらわれない常に新たなサービスを追求しています。
観光業界における「人」の役割と優秀な人材の確保と育成は優先すべき課題
近年、東京や大阪、京都などの日本を代表する観光地に新しいホテルブランドが続々と登場しています。
コロナ禍において、ホテルスタッフとの接触をできるだけ避けたいという要望を持つお客様にとって、IT化の加速を象徴するホテルにも注目が集まっています。
このようなホテルの登場により、今、ホテルにおける「人」の必要性について問われています。
コロナ禍におけるこれまでの経験から、業界はどのような人材を求めるか?
ホテルの宿泊部門、料飲部門、セールス&マーケティング部門、人事・経理部門などの各部署の管理を含めたホテルの運営全般を担う“総支配人”。総支配人という立場で、このコロナ禍をどのように受け止めているのでしょうか。
ANAクラウンプラザホテル エリア総支配人(広島・福岡・金沢・富山)、ANAクラウンプラザホテル広島総支配人として活躍している本校の卒業生でもある原めぐみさんに思いを語っていただきました。
これから観光業界をめざす皆さん
ホテルがつくった学校について知りたい人