未来のホテリエを応援! 武内 悟 先生のおススメ本
富士屋ホテルの営繕さん-建築の守り人-
山口由美・吉田鋼市 LIXIL出版
皆さん、こんにちは。
専門学校日本ホテルスクールの図書資料室の管理担当をしている武内です。
春の到来と共に新年度がスタートしましたが、未来のホテリエを目指す皆さんに是非手に取って目を通して欲しいと思う書籍を毎月お薦めしていきたいと思います。
「富士屋ホテルの営繕さん-建築の守り人-」
さて、今回のおススメする書籍は、どちらかというと「読む」よりは「見る」ことで視野を広げることが出来るという点では、本を読むのが苦手という人にもハードルが低い1冊ですね。
この書籍の舞台である日本のクラシックホテルの1つとして名高い、箱根・宮ノ下にある「富士屋ホテル」は、明治11年(1878年)の創建。
登録有形文化財を含む建物群が明治・大正・昭和の3時代に渡って継ぎ足されるようにして建てられました。
当然のことながら、建物躯体はもちろん細部に至る彫刻や装飾品、ロビーや客室に配されたソファや椅子などの調度品はその時代を色濃く反映したデザイン・モチーフなどがふんだんに用いられていることから、万一損壊したり傷がついたりするとその修復が必要でした。
また、箱根の温泉地にあるため温泉設備や水道のメンテナンス、さらには四季折々の風情を見せる庭園の整備のために「営繕(えいぜん)」という部署があるそうです。
今風に言い換えれば「施設管理課」とでも言えるでしょうか。
書籍のタイトルに「営繕さん」と親しげにあるのは、この書籍の著者の一人である山口由美氏は、富士屋ホテルの創業者、山口仙之介を曾祖父にもつ創業家の出身のジャーナリストでもあり、幼少のころから富士屋ホテルの現場を生活の場として見て来た立場でこそ言える言葉です。
そして富士屋ホテルは、2018年4月から2020年夏までに耐震補強のために全面改修工事を実施するにあたり、開業以来、初めての長期休業した上での全面修復作業を施しました。
有形文化財としての建築様式や家具・調度品も全面的な修復作業を経て、命を再び吹き込まれたかのように輝きを取り戻しています。
この書籍では、この改修工事前の富士屋ホテルの掲載されている建築や客室の調度品などの状況を記録しているのと同時に、生まれ変わったホテルを利用する際には、その歴史やホテルという施設の奥の深さを「営繕さん」の存在を知った上で感じることができるガイドブックとして貴重な1冊になることは間違いないでしょう。
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