副校長 武内 悟 先生のおススメ本
星野リゾートの事件簿2 なぜお客様は感動するのか?
中沢 康彦(著) 日経BP
皆さん、こんにちは。
枯葉が舞い、冬支度に向かう季節となりましたね。
さて、今回のおススメする書籍は、国内ホテル業界の中でもその動向に常に注目を集める「星野リゾート」の現場におけるスタッフたちの奮闘記、トラブルを大きなチャンスに変えた「真実の瞬間」を伝えるドキュメンタリー作品ともいえるでしょう。
『星野リゾートの事件簿2 なぜお客様は感動するのか?』
星野リゾートは、2021年1月現在で国内外に46か所にも及ぶ旅館とホテルを展開するホテルチェーンとしてもその名は全国区となりました。
それぞれの施設では日々様々な「事件」が起こり、その解決に直面していますが、その課題にスタッフたちが自ら考えや意見を結集させ、星野リゾートが誇る企業風土として“フラットな組織文化”というものがあります。
役職や社歴などに関わらず、全社員は「言いたいことを、言いたい時に、言いたい人に、言う文化をつくる」と代表取締役社長である星野佳路氏は宣言。
それまで経営陣しか知らなかった経営データを全スタッフに開示して自分の意見や提案を自由に話す環境づくりを整備。
そのため会議はもとよりメールやチャットを使った議論も活発だそう。
このような環境の下でスタッフは自ら考えて動くため、いざ事件が起こっても自らの状況判断で最適な対応を決断することが可能となっているのだとか。
あらゆる場面において「自分事」としてとらえることで自信をもって行動が出来ることこそがリーダーシップであり、周囲も協力を惜しまない組織であることがまさに“組織文化”であると認識できます。
さらに部署(ユニット)の管理職は、立候補制を採用して明確なビジョンと課題解決に対する意欲を同僚メンバーによる賛同が得られことで選ばれるというユニークな「ユニット制度」で運営されています。
また、例えば一定期間充電をしたいと考えるのであれば管理職から離れることも、また再度挑戦することも可能という“柔軟な働き方”ができる企業としても異色でありながら、どこか理想の職場を実現している企業です。
このコロナ禍は、従来の働き方や価値観を大きく見つめ直す機会を与えたことと思いますが、ホテル業の未来を先取りし、実践しているホテル企業の研究事例として、今回の推薦書籍は一読する価値があると思います。
=BACK NUMBER=
5月号 一生に一度は泊まってみたい奇想天外ホテル
6月号 観光再生 サスティナブルな地域をつくる28のキーワード
7月号 勝てる民泊 ウィズコロナの一軒家宿
8月号 麗し日本旅、再発見! 星野リゾート10の物語
9月号 2040年の未来予測
10月号 安いニッポン「価格」が示す停滞
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