副校長 武内 悟 先生のおススメ本
安いニッポン「価格」が示す停滞
中藤 玲(著) 日本経済新聞出版
皆さんこんにちは。
秋深し・・・の季節となりましたが、私の「おススメ書籍」も今回で第6弾目となりました。
今回は前回に引き続いて、ちょっとシビアな日本の社会問題について触れた1冊をご紹介したいと思います。
『安いニッポン「価格」が示す停滞』
さて、コロナ禍の緊急事態を迎える直前の2019年までいわゆる外国人訪日客であるインバウンドは実に年間3000万人超の記録を更新しました。
では、このインバウンドはなぜここまで増えたのでしょうか?
その理由の一つこそ、この本の題名でもある「安いニッポン」なのです。
インバウンドの伸張著しかった2015年前後に「爆買い」という言葉が流行ったように中国や東南アジア諸国からのお客様は、日本製の化粧品、薬品、お菓子、家電製品をお土産として大量に買ってくれました。
その当時の我々の反応は、日本の接客レベルの高いおもてなしや品質・技術が優れたメイドインジャパン製品を高く評価されているからだという自画自賛の論調が非常に目につきました。
しかし、彼らから見えていた日本は、治安も良く、サービスも良くそして自国に比べて物価が安い、つまり旅行先として非常に“リーズナブルな国”だったのです。
1990年代以降、「失われた30年」とまで言われるほどに日本が立ち止まっていた間に世界はどんどん成長し、アジアの新興国での経済発展は、健全にモノやサービスの価値すなわち「物価」を上昇させ、それに伴った所得を増やす人も増やしたのです。
ところが、日本だけは物価も上がらない代わりに所得も伸びないという「経済低成長時代」にどっぷりと浸かり、日本は気が付けば人材やモノを買い負ける国になっていると著者は警鐘を鳴らしているのです。
ここで何が問題になるかといえば、「安さ」は確かに生活者から見れば「生活しやすい」ことを意味するが、それが供給者の観点から見れば「収益が上がらない」ことを意味し、労働者の賃金は据え置かれ、消費が動かずに需要が増えないとう悪循環に陥る。
いったん下げてしまった価格は簡単には上げられず、企業は値下げをせずに最低限の生産コストを下げざるを得ない。
このような経済構造に中で世界を席巻するようなイノベーションが日本から起こるとは考えられないだろう・・・・と。
日本のディズニーランドの入場料も100均のダイソーの販売価格も世界最安値水準と指摘する話題の書籍を驚きと共に是非見て欲しいですね。
=BACK NUMBER=
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6月号 観光再生 サスティナブルな地域をつくる28のキーワード
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