強いぞ!日本の観光業界 【5】 新しい生活様式に対応したホテルの登場とホテル業界における人材の必要性とは?
近年、東京や大阪、京都などの日本を代表する観光地に新しいホテルブランドが続々と登場しています。
例えば、楽しさを追い求める次世代の旅行者にとって体験的な滞在を提供する「モクシー」。
立地する地域の文化や特徴をホテルのデザインなどに反映する独自性を持つ親しみやすい魅力的な雰囲気と個人の希望に添ったサービスを提供する「ホテルインディゴ」。
新しい滞在スタイルを提供する宿泊ホテル・ライフスタイルホテルの「ハイアット セントリック」や「アロフト」など、さまざまなホテルブランドが登場しています。
これらは世界的な有名ホテルブランドの一つ。
一方で日本発信のブランドも登場しました。
ICTやAI技術を導入し、ニューノーマル社会における新たなホテル「プリンス スマート イン」。
プリンスホテルの新しいブランドホテルとして東京・恵比寿の地で、イノベーションを担うホテルとして登場しました。
複合型サービスロボットの導入、スマートフォンをルームキーとして利用するなどの技術革新のみならず、コロナ禍における時代の変革の中で生まれる新しいニーズに応えるために既存の枠にとらわれない常に新たなサービスを追求します。
ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光(株)はミレニアル世代向けに「HOTEL TAVINOS」、(株)東急ホテルズの「東急REIホテル」、(株)星野リゾートの「BEB」なども世代に応じたサービスの提供を展開しています。
2015年以降、フロント業務や荷物の預かりなどを恐竜型や人型ロボットに任せた業務の省力化を通して生産性の向上をめざした「変なホテル」も全国で展開しています。
コロナ禍において、ホテルスタッフとの接触をできるだけ避けたいという要望を持つお客様にとって、「変なホテル」のようなIT化の加速を象徴するホテルにも注目が集まっています。
このようなホテルの登場により、ホテルにおける「人」の必要性について問われています。
「AIが将来仕事を奪う」
「将来、ホテルの客室係やフロントスタッフもいずれなくなる可能性がある」
さらにコロナ禍において、ホテルにおいて人との接触をできるだけ避けるべく今以上にIT化を進めることもあるでしょう。
しかし、「コロナウイルスという目に見えない感染症とどのように共存すべきか」という視点で、私たちの価値観の変化に対して、ホテル企業は「人」が「人」に寄り添い、ITと「人」が一緒になって新しいカタチを提供しています。
「プリンス スマートイン」はそのようなホテルの一つと言えるでしょう。
「AIがホテルの仕事を奪う」
それよりも「AIがホテルの仕事を変える」と考えるべきでしょう。
世界に「一切のホテルスタッフが存在しないホテル」があってもいいかもしれません。
しかし、先に紹介したさまざまなライフスタイルホテルが登場する中で、世界中すべてのホテルがそうなるとは思えません。
「体験的な滞在を提供する」
「個人の希望に添ったサービスを提供する」
「新しい滞在を提供して生活を豊かにする」
単なる宿泊に留まらない付加価値や革新的な個人サービスを提供するライフスタイルホテルにおいて、ホテルスタッフはさまざまな役割を担いサービスを提供しています。
先で紹介した地元や近場を旅して楽しむ「マイクロツーリズム」は、地域の人々に対して自身の地域の魅力を再発見する機会を提供し、観光による地域経済の復活を実現しています。
ホテルをはじめとした宿泊施設が、食物の生産者や観光地、伝統工芸に関わる人々をはじめとした地域の人々と連携し、つながりを深めることで「地域の力」が強くなります。
「ホテルスタッフ×地域の人々」
この連携には「人」が欠かせません。
ホテルの現場におけるサービスの提供という場面に留まらず、「観光の中核を担うホテル」という側面からも「人」の必要性を強く感じることができます。
ホテルスタッフには、地域の情報発信者、今の言葉で表現するならば「インフルエンサー」としての役割があるのでしょう。
新型コロナウイルスは、ホテル企業を含めた観光業に携わる企業に大きな影響を与え、生き残るために人材の採用を控える企業、リストラの一環で人員の削減などを行う企業もあります。
しかし、コロナが収束した後、回復のスピードを速めるためにも観光を担う人材の役割は大きく、一度手放した人材を取り戻すことは容易ではありません。
ホテルを含めた観光業界における「人」が持つ役割は大きく、ますます優秀な人材の確保と人材の育成は優先すべき課題には変わらないはずです。
強いぞ!日本の観光業界シリーズ
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【1】 外国人観光客が激減、日本の観光は大丈夫?
【2】 日本の観光の救世主?「マイクロツーリズム」とは?
【3】 観光の中心を担うホテル~コロナ禍における宿泊産業
【4】 価値観の変化に対する「サービス」のカタチ
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