夢は大きく「音と光」の演出家。知識と経験と感性がものを言う。
音響・照明を担当する"エキスパート"というと、なんだかカッコよさそう。仕事内容も、ホテルスタッフというより、コンサートや演劇の舞台裏を支える制作スタッフに近く、音響設備や照明器具の取り付け、点検、管理などを行う。なぜ、こういう役割が必要かといえば、ホテルには宴会場や会議場といった「舞台」があるから。
たとえば、ホテルではディナーショーが盛んに行われる。結婚披露のパーティーも多い。各種の会議が開かれたりもする。そういう催しには必ず音響と照明の用意が要るわけで、それを担当するのがこの音響・照明スタッフ。催し物の規模や性格に応じて、最も効果的な音響・照明プランを立て、実行する。
ちょっと大げさにいえば、「音と光」の演出家だ。とくにディナーショーや結婚披露宴では、スポットライトの位置や色合い、音響効果によって、雰囲気がガラリと違ってくるから、その役割は大切。専門知識と経験、センスをもっていなければ務まらない。
むろん、有名歌手の舞台ともなれば、専任のスタッフがお抱えでやってくるので、ホテル側の担当者の出る幕なしといった場面もある。それでも、基本的な設備・器材はホテル側がお膳立てすることになる。
外部の専門業者に音響・照明のプランを委託するような場合でも、“調整役”としての存在意義は大きい。照明全体で何ワットが必要なのかをチェックしておくとか、どの電源からケーブルを引き込むかを決めるといった仕事は、ホテルのスタッフでなければできないからだ。もちろん、結婚披露パーティーの音響・照明を任されて、存分に腕をふるえるときなどは、最高に楽しい。