あなたのお望み、何でも叶えます!古きよき世界をホテルで再現
バトラーを日本語に訳すと「執事」。ちょっと古めかしくて、聞き慣れない言葉かもしれない。それもそのはず。特別なゲストの世話を、個人的に提供するのがバトラーサービスで、どこのホテルでもやっているサービスではないからだ。むしろバトラーがいるホテルは少数派で、老舗のクラシックホテルなどに限られる。
料理がとびきりおいしくて雰囲気の良いレストランを予約したい、靴が汚れたから磨いておいてほしい、オペラのチケットを手に入れたい......。こういうリクエストはふつう、フロントに相談したり、ロビーにいるコンシェルジュに頼んだりするものだが、超忙しいビジネスマンや、自分でアレコレやることに普段から馴れていないゴージャス系の人はいるもので、そういった特別なゲストに個人的にお仕えし、要望を満たすサービスをするのがバトラーの仕事。
だからといって、べったり貼りついて、召使いのごとく靴を磨いて差し上げるというわけではない。要するに、お客さまが自ら出向いたり、連絡を入れたりしなくてもいいように、リクエストの窓口をひとつにしたのが、このバトラーサービスだ。
お客さまの我がままを聞いてあげる。これがバトラーの基本姿勢だから、部屋がちょっと寒いとか、枕が硬いとか、些細なことでもお呼びがかかる。「自分でやってよ」、なんて思うようではこの仕事は務まらない。要求される前に、望んでいることを汲み取れるくらいの配慮ができて、やっと一人前だ。
日本でバトラーサービスを行っているホテルは、まだまだ少ないけれど、サービス競争の激化に伴い、他のホテルと差別化を図るために増えてくることも考えられる。