ホテル&ブライダル仕事ガイド
調理の仕事ベーカリー
香ばしい匂いにつつまれて、朝早くからパンを焼く。
わかりやすく言えば、ホテルの中のパン屋さん。ただし、売るほうではなく、作るほうの担当。フランス語でブランジェールと呼ぶこともある。ホテルのパンはたいてい自家製で、おいしい。
そして、パンがおいしいことは、ホテルの自慢になる。評判が良いと、テイクアウト商品としても売れる。ベーカリー部門の腕前は、とても大事なのだ。
どんな仕事?
たいがいのホテルは自家製パンを焼いている。朝食の必需品なのはもちろん、レストランや宴会場でも必要だから、たくさんのパンを作る。それに自家製パンをコーヒーショップの店頭などで売る場合も多いから忙しい。
当然、パンを"焼く"だけが仕事じゃない。小麦粉、水、バターなど、さまざまな材料を計量するところから、パンづくりは始まる。次にこねる作業に入るわけだが、これは基本的に体力勝負。額に汗する重労働で、慣れないうちは手が痛くなることも。それから生地が発酵するのを待ち、形を整えてようやくオーブンに入れる。
パンを焼くのはだいたい朝と昼の1日2回。朝食の分とランチの分を一部。昼は夕食に使う分を焼く。
やりがい・面白さ
パンを焼いているときの、あのバター混じりの香ばしい匂い。その匂いに包まれているだけで幸せな気分、という人はけっこう多いかもしれない。朝早く、みんながまだ眠っている時間から動き出す、つまり1日の始まりを告げるような仕事。朝型人間のあなたには、ピッタリだろうね。
自分が焼いたパンを食べて、お客さまがハッピーな気分でその日をスタートしてくれたら、こんな嬉しいことはない。
難易度・大変さ
調理部門の中で、いちばん朝早くから働き出すのがベーカリー。なにしろ、朝食にパンは必須アイテムだから、それに必ず間に合わせる。で、早番の人は前日から泊まり込み、早朝3時か4時には起床。朝が苦手な人には、ちょっとつらい。
起きるとちょうど、前日のうちに仕込んでおいたパン生地が発酵した頃なので、形を整えて、熱したオーブンに入れる。焼き上がって一息つく朝8時頃、昼番の人が出勤してきて、次の日の仕込みを始める。
朝が早い代わりに、帰れる時刻も早い。早番だと午後3時ぐらいに上がれる。それから、映画を見にいったり、ショッピングをしたり、友達と会ったりできる。こういう生活ペースも悪くないよね。
将来性
「ベーカリー」担当が、ホテルの他のセクションに回ることは、まずありえない。たいていのホテルはスタッフを募集する際、コック、ベーカリー、ペストリーと別々に人材を募るからだ。つまり、専門を「ベーカリー」と決めたら、その道一筋で生きていく。本物のパンづくりとは、それほど奥が深い"職人芸"の世界なのだ。