フランス料理レストランにおける接待の最高責任者はこの人物
メートルドテールはフランス語。Maitre d' Hotelと書く。直訳すると「ホテルの主人」といった意味で、かつてはヨーロッパのプチ・ホテルで使われていた言葉だとか。今は「レストラン支配人」のようなニュアンスで用いられる。給仕係のトップでもあり、ホテルよりもむしろ、町なかの高級フランス料理店でよく聞かれる呼び名だ。
ホテルの中でメートルドテールという職種が存在するのは、フランス料理レストランに限られると言っていい。「支配人」の意味で使われている場合と、「給仕長」の意味で使われている場合がある。どちらにしても、お客さまと接するホール担当の責任者だ。料理をテーブルに直接運ぶことはなく、もっぱらウェイター、ウェイトレスに指示を与える。
常連のお客さまやVIPの来訪時には入口でうやうやしく出迎え、あいさつをする。何といっても、責任者たる人物が、それなりの物腰で迎えた方が、良い気分で食事をしてもらえるからだ。いかにも「お待ち申し上げておりました」という感じで、メーテルドテールがお辞儀をする。それだけでホテルやレストランの格式が、ぐっと上がるような気がするから不思議なものだ。
メートルドテールは、日本ではあまり聞かない言葉。きっと、あなたも初耳に違いない。一方、欧米の格式ある老舗ホテルなどでは、経験や技術、見識、人物的な資質を備えたレストランサービスのプロフェッショナルとして、不動の地位を保っている。とくにフランスでは、最優秀職人賞(通称MOF)を授与するコンクールが行われるほど、メートルドテールは重要な職種。むろん、大いなる尊敬の対象ともなっている。